日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成22年度日本調理科学会大会
セッションID: 2D-p7
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口頭発表
乾燥方法の違いによる粉末品質の比較
*奥川 高康山田 潤松田 秀喜
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抄録
【目的】食品製造において粉体加工技術が支えている用途、分野は非常に広い。特に粉体乾燥技術はすでに浸透している基本的な食品加工技術であるが、その技術、装置の選択は加工製品の品質決定に大きく関わる。しかしながら、乾燥技術の違いによる製品品質に関わる報告はこれまでほとんど行われていない。本研究では、代表的な乾燥技術方法である噴霧乾燥(SD)と連続真空乾燥(CVD)の粉末品質に及ぼす影響を「鰹だし」「果汁」を用いて、香気成分、有効成分保持について検討した。
【方法】「鰹だし」は鰹節を熱水抽出した弊社製品の風味氷結®鰹だしを用い、「果汁」は市販グレープフルーツを搾った果汁を使用した。試料は同量の賦形剤を添加後、機械特性に合うよう試料溶液を加水調整し、SD、CVDにて粉末化した。官能評価は評点法により行い、ウェルチのT検定にて評価した。GC-MSは吸着樹脂を使用した加熱脱着法により分析した。また、有効成分としてビタミンCをDNPH法にて測定した。分析試料は、鰹だし固形、果汁固形が同一となるように調整し、鰹だし及び果汁とそれぞれのCVD粉末、SD粉末を比較した。
【結果】鰹だしの官能評価から、CVD粉末はSD粉末よりも鰹だしに近い風味であると評価され、GC-MS分析からは、CVD粉末は約90%、SD粉末は約70%の鰹節特有の香気成分を保持している結果を得た。果汁での比較では、官能評価、GC-MS共にCVD粉末はSD粉末よりも果汁に近い風味を保持している結果を得た。さらにビタミンCは、CVD粉末はSD粉末よりも残存している事が確認された。
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