日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成24年度日本調理科学会大会
セッションID: 2P-5
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ポスター発表
麹プロテアーゼの食塩に対する影響
麹耐塩性プロテアーゼ
*谷口(山田) 亜樹子重田 公子高野 克己
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キーワード: , プロテアーゼ, 塩麹, 耐塩性
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抄録

【目的】現在、塩麹が一般の消費者に大変興味を持たれ、流行している。塩麹とは、麹と食塩、水を混ぜて発酵、熟成させた日本の伝統的な調味料である。また、昔からの発酵食品である醤油や味噌の製造工程では、麹に食塩を添加した塩麹が利用されている。今まで耐塩性微生物の研究は広く行われてきたが、耐塩性酵素についての研究はあまり行われていない。本研究では、清酒麹、醤油麹の各麹のプロテアーゼに着目し、食塩に対する酵素の影響について検討した。【方法】 試料は清酒麹および醤油麹の2種の麹を用いた。酵素の抽出方法は麹に緩衝液(MclIvane緩衝液、Sorennsen緩衝液)を加え、ホモジナイズ後、撹拌、抽出し、遠心分離した上澄液を抽出液とした。プロテアーゼ活性の測定はKunitz法およびTNBS法を用いた。【結果】麹のプロテアーゼを測定したところ、清酒麹はpH6付近で活性が高く約2,300units/1g、醤油麹はpH3付近で活性が高く、約5,000units/1gであった。清酒麹プロテアーゼは1%食塩濃度下では活性が1/10に低下したのに対し、醤油麹プロテアーゼは1%食塩濃度下では活性が1/3、また5%食塩濃度下では1/6と活性の低下が清酒麹に比べ、ゆるやかであった。酵素抽出液を食塩添加下で一ヶ月保存し、プロテアーゼ活性を調べた結果、清酒麹は食塩無添加の条件では活性が1/5に低下し、1%食塩濃度下では1/6とさらに活性が低下していた。醤油麹も同様にプロテアーゼ活性を測定したところ、食塩無添加では活性は1/6に低下していたが、1%食塩濃度下では活性は1/3と食塩を添加した方が活性の低下がみられなかった。また、醤油麹のプロテアーゼは5%,10%食塩濃度下においても活性の低下は1%食塩濃度下とあまり差がなく、耐塩性であり、高塩濃度下においても活性の低下がみられなかった。

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© 2012 日本調理科学会
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