日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成24年度日本調理科学会大会
セッションID: 1D-a4
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口頭発表
ゾルーゲル混合系試料の食べやすさに及ぼすゲル性状の影響
*岩崎 裕子大越 ひろ
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抄録
目的 高齢者施設などで提供されている摂食機能が低下した高齢者の食事としての食形態には、均質な状態ばかりではなく、きざみ食にとろみあんをかけたものなど不均質な状態が多く存在する。本研究では、ゾルーゲル混合系試料について、ゲルの特性の相違が混合系試料の力学的特性および食べやすさへ及ぼす影響を検討することを目的とした。
方法 ゲル試料には、特性の異なるゲル化剤4種(UP16K、ウルトラ寒天、ゼラチン寒天、大和)を用い、硬さの等しいゲルを調製し、4㎜角の微細ゲルとした。ゾル試料は、市販とろみ調整食品を緑茶飲料に添加して調製した。微細ゲルとゾルを重量比1対1で混合し、混合系試料とした。ゲル試料は、一粒の破断測定、および微細ゲルを容器に一定量充填した試料についてテクスチャー測定を行った。混合系試料については、テクスチャー測定および飲み込みやすさの官能評価を行った。
結果 いずれの微細ゲル充填試料もゾルと混合することで、硬さは小さくなり、微細ゲル充填試料の中で最も硬いウルトラ寒天ゲルは、混合系試料においても最も硬かった。凝集性も同様に、ゾルと混合することで大となり、微細ゲルの特性が混合系試料のテクスチャー特性に影響することが示された。一方、付着性は測定条件により傾向が異なるため、測定法の検討の必要性が示唆された。官能評価による、べたつき感、口内の残留感の評価は、ゾルと混合することによりゲルの特性が相殺され、4試料間の有意差は認められなくなった。一方、まとまりやすさ、および飲み込みやすさは、ウルトラ寒天ゲルのように変形しやすく付着性が高いものは、ゾルと混合してもまとまりやすさが改善されず、飲み込みにくく、ゲルの性状が顕著に表れることが示唆された。
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© 2012 日本調理科学会
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