日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成24年度日本調理科学会大会
セッションID: 2A-p4
会議情報

口頭発表
チキン・ブイヨンの風味による減塩効果とその要因
*真部 真里子谷口 文香谷口 惠梨奈笹井 昭彦
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】生活習慣病予防の見地から減塩が重要である。しかし、食品の塩味減少は、おいしさを著しく低下させるので、おいしく減塩するために、だしを効かす調理法が勧められてきた。我々は鰹だしのうま味物質以外の風味にも減塩効果があることを明らかにしてきたが、本研究では、和食のみならず広く減塩食のおいしさ向上を目指して、西洋料理にて使用頻度の高いチキン・ブイヨンの減塩効果とその要因について検討した。
【方法】20歳代の女性を被験者とし、試料にチキン・ブイヨン、野菜のみのブイヨン、うま味強度をチキン・ブイヨンに合わせたMSG溶液と食塩水を用いて官能評価を実施し、チキン・ブイヨンについてはノーズクリップを着用した場合も実施した。各試料の塩分濃度を0.62~1.00%の5段階に調整し、0.80%食塩水とそれぞれ組み合わせ60℃で提供した。各組、より塩味の強いもの、塩味の強さが好ましいものを被験者に回答してもらった。
【結果】プロビット法で解析した結果、チキン・ブイヨンの塩味増強効果は不明確であったが、野菜のみのブイヨンに塩味抑制効果が確認された。
 また、被験者の塩味強度に対する嗜好は多様で、0.80%食塩水と比較して顕著に好まれる特定の塩分濃度はなかった。しかし、チキン・ブイヨンでは、塩分濃度0.62~0.90%において、0.80%食塩水の塩味強度より有意に好まれた。他の試料の結果と総合的に考えると、チキン・ブイヨンは、スープ類に相当する塩分濃度では主にうま味、それより低い濃度ではうま味以外の呈味物質の効果によって、一方、塩分濃度が高くなると野菜のにおい効果でおいしさを向上させると考えられた。
著者関連情報
© 2012 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top