日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成24年度日本調理科学会大会
セッションID: 1A-a5
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口頭発表
認知症高齢者グループホームにおける料理活動の効果
*明神 千穂西口 のどか村田 真希小澤 一哉宮田 麻代土川 嘉代湯川 夏子
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抄録
【目的】料理活動は、人をいきいきさせ、豊かな人間関係を構築し、自立支援や高齢者の生活の質(QOL)の向上が期待される。先行研究において1施設の認知症高齢者グループホーム(以下GH)にて料理活動を実施したところ、認知症周辺症状の改善が見られた。そこで本研究では別の施設の対象者に対して料理活動を実施し、同様の効果が得られるか検討を行った。
【方法】調査対象は奈良県内のGHのA、B2施設の入居者18名で、料理活動参加者9名を介入群、不参加者9名を非介入群とした。期間は、A施設は平成22年9~10月、B施設は平成23年9~11月とした。介入回数は計8回で昼食5回、おやつを3回実施した。評価は、行動観察式で認知症の重症度を評価するCDR、質的差異を評価するGBSスケールを用いた。またQOLの評価は高齢者生活健康スケールで行った。さらに料理活動の全体評価及び個人評価、スタッフに対するアンケート調査も行った。 
【結果】A施設の介入群のGBSスケールは介入後で23%の改善がみられ、知的機能の「場所・時間に関する見当識」、「冗漫さ」、精神症状の「錯乱」が有意に改善した(p<0.05)。一方B施設は26%の改善がみられ、知的機能の「最近の記憶障害」、運動機能の「用便の管理不能」に有意な改善がみられた(p<0.05)。またCDRはA施設が24%、B施設は20%介入後に改善され、認知症の進行に緩和がみられた。両施設において特に「介護状況」で改善される人が多くみられた。QOLは両施設とも介入後に多くの項目で改善された。施設や対象者が異なると改善される認知症周辺症状に違いはみられるが、料理活動は認知症周辺症状の改善に効果があることが示唆された。
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© 2012 日本調理科学会
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