日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成24年度日本調理科学会大会
セッションID: 2C-a5
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口頭発表
低温貯蔵時の野菜の品質変化に及ぼす光照射の影響
*青木 秀敏大浦 和也和田 大輔田口 洋輔平野 勉央
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キーワード: 光照射, 貯蔵, 野菜
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抄録

[目的]収穫後の野菜は一般的に低温で貯蔵されるが、野菜の生理活性が断続しているため、日数が経過するにしたがって栄養価が低下し、品質が劣化してしまう問題がある。そのため、野菜の貯蔵には温度や湿度を調整するCA貯蔵で鮮度保持を行っている。本研究では、温度、湿度に合わせて光照射を行うことによって鮮度保持ができるのではないかと考え、野菜の低温貯蔵中に種々の波長の光を照射し、食品の品質を維持もしくは向上させる可能性を検討した。
[方法] 実験材料として、抗酸化性物質を多く含み、低温貯蔵が適しているホウレンソウとシソを用いた。供試材料を市販の鮮度保持フィルムで密封して包装し、大型冷蔵庫(縦3m×横3m×高さ2.5m)の48時間貯蔵した。冷蔵庫の設定温度を5℃、10℃、光照射はUV-A(ピーク波長nm)、青(450nm)、緑(550nm)
、赤650 nm)、非照射の5つの条件下で行った。測定項目は重量減少率、クロロフィル含量、アスコルビン酸含量、DPPHラジカル消去能とした。
[結果] クロロフィル含量は光の種類によって顕著な差が認められなかった。重量減少率に関しては、青色照射の試料の重量が14%と大きく減少した。アスコルビン酸については、1日目は光照射によって、赤照射1.25倍~青照射1.75
倍増加した。赤色と青色については、光合成によってアスコルビン酸の合成が促進したと考えられる。抗酸化性も青、緑、赤を照射した場合は非照射に比べ1.0~1.5倍増加した。これらの結果から、出荷後の野菜に光照射することで品質を保ったまま、さらに栄養価の高い野菜を流通させることが可能になる。

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