日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成24年度日本調理科学会大会
セッションID: 1B-a3
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口頭発表
トマト粉末保存中の色の安定性と食パンの力学物性を変化させないトマト粉末添加量の推定
福山 紗由実井村 智郁*佐藤 之紀
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キーワード: トマト, パン, 物性, 官能評価
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抄録

【目的】トマトの食べず嫌いや食わず嫌いの幼児や児童の意識改善として,まず食べてもらう方法の考案と,トマト粉末を添加した赤色ベースの食品をハレの日の儀礼食へ発展させる目的の一環として行った。
【方法】本学フィールド科学教育研究センター内の圃場で栽培された2011年産トマト(桃太郎)の凍結乾燥粉末(<850μm)をトマト粉末とした。臭化ナトリウムなどの飽和塩類水溶液を共存させた30℃のデシケータ内(相対湿度RH 6-97%)にそれぞれトマト粉末を保存し,トマト粉末の色L*a*b*を色彩計(CR-13, コニカミノルタ)でモニターした。さらに,市販ホームベーカリー(SD-BM103, Panasonic)でドライイースト-食パンモードにてトマト粉末添加食パンを焼成し,AACC変法を用いて力学物性測定を行うとともに,トマト粉末無添加の食パンを対照(評価点0)として,色,香り,力学物性などの項目につき7点評価法の官能評価を行った。
【結果】トマト粉末のみを種々のRHに2週間保存しても,保存直後のトマト粉末の色を保持しており,ほとんど変化しなかった。さらに,トマト粉末を1%のレベル(小麦粉の質量に対しての百分率)で添加して調製した食パンクラムには,トマト粉末無添加食パンクラムの色との差が外見上みられたのみならず,色彩計での色のパラメータにも差がみられた。さらに,トマト粉末を添加した食パンクラムの官能評価を行った結果,パネラーは色や香りが異なることに気づいたものの,何が添加されたのかを認識できない場合が多かった。力学物性値も,機器測定および官能評価ともに,トマト粉末を添加して調製した食パンは粉末無添加の食パンとほとんど変わらなかった。

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© 2012 日本調理科学会
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