日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成24年度日本調理科学会大会
セッションID: 1B-a4
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口頭発表
パラチノースを用いた乳幼児用焼菓子の咀嚼特性
*上中 登紀子花﨑  憲子大喜多 祥子倉賀野 妙子和田 淑子
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抄録
【目的】焼菓子に用いる甘味料は菓子に甘味を付与するだけでなく、焼成時の生地の広がりや膨化に影響し、製品の焼き色や食感形成に関与する。ショ糖の異性体のパラチノースを用いた焼菓子は表面は固めであるが、ほどよい口溶け感も合わせ持っている。非う蝕性で甘味の少ない機能性を有するパラチノースを用いて、幼児の歯固めに適した焼菓子の基礎データを得ることを目的とした。【方法】焼菓子としてビスコッティを取り上げた。配合割合は、小麦粉100g、B.P.1g、糖50g、卵40g、精製水20gとした。卵を水で溶き、糖を加えて撹拌し、小麦粉とB.P.を加え60回混捏し生地とした。パウンドケーキ型に入れ170℃で18分焼成後10㎜幅に切断し、径30㎜の型で抜き、150℃で10分焼成した。60分放冷後デシケーターに保存し、翌日実験に供した。糖はパラチノースと上白糖の2種類を用い、両製品の形状、官能評価、咀嚼筋筋電位測定、人工唾液の吸着量測定、定速圧縮破断試験、水分活性測定を行い比較検討した。【結果】咀嚼筋活動の特性値(筋活動量、咀嚼回数、咀嚼時間、咀嚼周期)は両製品間に有意差が認められなかったが、パラチノース製品は噛んだ時に固い、噛み砕きにくい、噛んでいる時間が長い、砕ける大きさが大きい等の官能評価を得た。人工唾液に浸漬時の製品の重量・破断特性値の変化からパラチノース製品は人工唾液の吸水速度が砂糖製品の約50%であった。このことはパラチノース製品が口腔内で固さを持続する時間が長いことを示すものであり、乳幼児の歯固め用菓子としての要素を備えていると考える。パラチノース製品は水分活性値が低く保存性に富むことが示唆された。製品の食感・総合評価における嗜好性の向上に向けた工夫が今後の課題である。
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© 2012 日本調理科学会
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