日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成27年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2A-p3
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口頭発表
家庭科における衛生および環境の視点とまな板の衛生管理
*米田 千恵山本 愛
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キーワード: 家庭科, 衛生, 環境, まな板
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抄録



【目的】調理実習は家庭科の食物教育の重要な学習であるが、衛生面の指導も近年重視されている。一方で、食品や食器の洗い方やごみ処理の仕方は環境に配慮した生活の工夫としても取り扱われている。本研究では、小学校、中学校家庭科における調理衛生の指導内容および環境教育の視点について、学習指導要領より明らかにした。また、まな板について、食品成分を塗布し、洗浄したときの食品成分の残存や衛生指標を実験により調べた。

【方法】まず、小学校および中学校の学習指導要領および解説を資料とし、家庭科の食生活領域における衛生および環境に関する内容を抜粋した。次に、まな板の衛生状態の評価は、3種のまな板について、浸水による重量変化を調べた。また、でんぷん、たんぱく質、脂肪由来の成分をまな板に塗布し、洗浄後のまな板について食品成分の残存量、ATP法による相対発光量、生菌数を測定した。

【結果】学習指導要領および解説より、調理過程の衛生に分類される食品の洗い方や、用具や食器の安全で衛生的な取扱い内容は、昭和52年告示から平成20年告示まで一貫して記載されていた。また、後片付けに関する廃棄物処理や排水については、衛生と環境をとらえる両者の視点を併せもっていた。次に、浸水によるまな板の重量変化を調べた結果、プラスチック製まな板は内部へ水が吸収されにくいが、木製まな板は内部へ水が吸収されやすかった。まな板に食品成分を塗布し、洗浄したところ、片栗粉溶液や卵液は、すすぎ洗いだけでは1%以上の残存があり、木製まな板に多く残る傾向があった。ATP法により食品成分の残存を推定することは可能であった。洗浄後のまな板の生菌数は104 CFU/ cm2以下であった。

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