日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成28年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1P-43
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ポスター発表
企業における子ども料理教室を通じた食育実践
*磯部 由香中川 真希中井 茂平
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キーワード: 食育, 料理教室, 企業
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抄録

【目的】近年、家庭・学校だけでなく、様々な場における食育が期待されている。そこで、本研究では、企業が提供できる場として「料理教室」に注目した。学校外での調理体験が子どもの調理技能や家庭での実践意欲の向上にとって有効であるかを確認するとともに、多くの現場で活用可能な指導用テキストの作成を試みた。
【方法】平成27年5~7月に月に1回計3回の料理教室を小学校4~6年生の32人を対象に実施した。第3回の弁当作りを目標として、第1回に主菜、第2回に副菜の調理を取り上げた。各回の終了時に調理の難易度、調理操作の自信度について回答を得た。また、保護者に家庭での子どもの様子についてアンケート調査を行った。
【結果】各料理の作り方を調理操作ごとにイラストで丁寧に説明した子ども向けテキストとともに、誰でも指導が可能な指導用資料を作成した。今回取り上げた8つの料理の難易度を尋ねたところ、6つの料理で70%以上の子どもが「とても簡単だった」「簡単だった」と回答した。卵焼きは約30%が「とても難しかった」「難しかった」と回答した。もう一度作りたい料理は卵焼きが26人と最も多く、ついでフライドポテトが25人であった。一方、焼き鮭は5人と他の料理よりも有意に少なかった。これは達成感の違いによると推察される。「包丁で野菜を切る」「野菜をゆでる」などの8つの調理操作の自信度はいずれも80%以上が「自信がある」「やや自信がある」と回答していた。また、26人の子どもが取り上げた料理を家庭で作っており、多くの保護者は子どもの家での調理実践、お手伝いの回数が増加し、調理技能が向上したと感じていた。3回の料理教室は子どもたちの調理技能を向上させるのに有効であったといえる。  

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