日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1P-51
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ポスター発表
小麦粉製品の普及と日本人のチーズの受容
河内 公恵*齊藤 優子*高橋 ひとみ山口 真由中村 恵子
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抄録

【目的】高度成長期のパン食の普及,70年代のピザの普及,80年代のイタリア料理ブームなどに伴いパスタ等が普及してきた。一方,チーズの消費もその頃急伸している。そこで本研究では,小麦粉製品の普及とチーズの消費拡大の関係を明らかにすることを目的として,普及の過程で食経験を積んできた60‐80代の女性と普及後に育った女子大学生を対象にアンケートを実施した。
【方法】60‐80代は鎌倉,横浜,川崎の(公社)シルバー人材センターの会員またはその配偶者,女子大学生は鎌倉市のK大学と川崎市のS短大の学生を対象とした。調査票の回収数,有効回答数はそれぞれ60‐80代(311名,290名),大学生(318名,304名)であった。チーズおよび小麦粉とチーズを使った料理5種(グラタン,ピザ,ピザトースト,チーズトースト,パスタ・スパゲティ)の食経験や嗜好を調査した。
【結果】最初に食べた時の嗜好(7段階評価)では,どちらの年代も料理はいずれも「非常に好き~やや好き」の合計が60%以上であった。好む理由はチーズが焼けた香り,チーズがとけた時の食感などで,特にチーズを加熱する料理でチーズの寄与が高いと考えられた。60‐80代では,10‐30代の頃にこれらの料理を初めて食べており,グラタン,ピザ,パスタ・スパゲティはレストラン等でハレの食事として食べ始めた人が多かった。10-20代は幼少期から自宅で食べ続けており,普及の状態が示された。食頻度の増加理由では,嗜好の高さや調理機器・調理用チーズの発売等が挙げられた。以上より,特にチーズを焼く料理の普及とともにチーズの消費が拡大したと推察された。

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