日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2B-3
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口頭発表
機器測定と官能評価から抽出される半乾燥野菜の感覚特性
飯村(久松) 裕子*笹倉 仁美*長尾 慶子小林 理恵
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抄録

【目的】これまで半乾燥野菜についての基礎特性を評価し,天日乾燥法による重量減少率30 %試料が茹で加熱調理品として良好な品質となることを報告した。本報では,基礎特性の評価の際に行った機器測定に併せて,咀嚼音の測定と官能評価を行い,機器測定で得られた結果が実際に人で感知できるのかを確認した。そこから明らかにされる半乾燥野菜の感覚特性について検討した。
【方法】試料のダイコンは円柱状に成型し,乾燥させない生試料と,天日乾燥法(直射日光下)にて重量減少率30 %まで乾燥させた半乾燥試料を調製した。それらを内部温度が98℃になるまで茹で加熱し,各測定用試料とした。機器測定は,測色色差計による色度,におい識別装置によるにおいの強弱,レオナーによる破断強度,糖度計による糖度(Brix値),及び骨電動マイクロフォンを用いた咀嚼音・咀嚼回数とした。官能評価は,生と半乾燥試料の品質の差を認識できるか否かについて色,におい,硬さ,味,咀嚼音の識別試験を行った。
【結果】生と半乾燥試料の機器測定結果で,有意差の見られた「臭気指数が低くなる」,「糖度が高くなる」の2点については,官能評価からも人の感覚で両試料の違いをとらえられることがわかった。また,色度測定で有意差のあった「a*値が低くなる」は,人の感覚ではとらえられなかった。さらに咀嚼音の測定では,機器測定及び官能評価ともに差はみられなかったものの,半乾燥試料の咀嚼回数が生試料のそれよりも増加する傾向が観察された。以上の結果から,生野菜と比較した際の半乾燥野菜の明らかな感覚特性として,「においが弱くなり」,「甘味が強くなる」こと,そして「咀嚼回数を増加させる」可能性が抽出された。

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