抄録
【目的】レンコンの節部分は可食部よりも多くのポリフェノールを含有し、アンジオテンシンⅠ変換酵素やデンプン分解酵素の阻害活性が高いことから、生活習慣病の予防に有効である可能性が示唆されている。一方で、パウダー等の加工品に関しては、加工特性等の詳細が検討されていない事から、本研究では生のレンコンからパウダーを調整し、その有用性を検討するとともに、市販パウダーとの比較を行い、加工特性を検討する際の基礎データとすることを目的とした。
【方法】生産者より入手した赤根れんこんを可食部と節に切り分け、それぞれ約5 mm間隔で細断した後に、60℃の熱風乾燥器にて24時間乾燥させた。次いで、高速粉砕機を用いて粉末状に粉砕し、目開き500μmの篩に通して得られたパウダーにつき、常法により一般成分を測定するとともに、それらのオートクレーブ抽出液および冷水抽出液(20 mg/ml)に含まれるポリフェノール量をフォーリン・チオカルト法により測定した。一方、市販されているパウダーについても同様の測定を行った。
【結果】調製した節レンコンパウダー(JOP)およびレンコンパウダー(EOP)を比較すると、水分(6.10%および5.95%)、タンパク質(5.90%および5.64%)、脂質(0.82%および0.33%)および灰分(4.93%および4.76%)はいずれも節レンコンパウダーの方が高い数値を示し、特に脂質の含有量に大きな差異を生じた。また、市販の節レンコンパウダー(JPP)およびレンコンパウダー(EPP)に関しても同様の傾向がみられた。一方、JOPおよびEOPのオートクレーブ抽出液には没食子酸換算で2.15および0.67 mM、冷水抽出液には0.91および0.32 mMのポリフェノールが含まれていることが明らかとなり、JPPおよびEPPを用いた際に得られた結果とそれぞれほぼ一致した。