日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成30年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2A-10
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口頭発表
かつお節の“削りたて”香と香気成分の変化
*来島 壮藤原 佳史
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抄録
【目的】日本の食卓に欠かすことのできないかつお節は、調理の際には粉砕あるいは切削加工したものを使用することが一般的である。切削直後のかつお節の香りは好ましいとされているが、切削前後での香気成分の違いを調べた例は少ない。また、切削直後のかつお節の好ましい香りは、経時的に消失してしまう。そこで、切削直後のかつお節の香気を“削りたて”香と称し、その香気成分を明らかにするとともに、切削前から切削後までの一連の過程におけるかつお節の香りの変化を調べることにした。
【方法】かつお節を105℃で3分間蒸煮後、切削物を作製した。この切削物を35℃83%RHで2時間、6時間および24時間静置した。切削前、切削直後および切削後静置したかつお節の香りの違いを、香気成分分析と官能評価により調べた。香気成分分析はGC/MSで行った。官能評価は14名のパネルに対して線尺度と7段階評点法で行った。
【結果】切削前と切削直後の香気成分を比較したところ、複数の成分で違いが確認された。そのうちの2成分は切削直後に大きく増加したが、静置時間の経過に伴い減少した。RIと標準物質によって、この2成分をDimethyl sulfideとPyridineと同定した。一方、Hexanalは切削前と切削直後の変化は比較的小さく、静置中に増加する傾向がみられた。官能評価の結果、静置時間の増加に伴い「削りたて」の評点は低下し、24時間静置した試料では有意な品質差が認められた(p<0.05)。また、経時的に「酸化臭」の評点は増加し、「燻煙臭」「肉質香」の評点は低下する傾向にあった。
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