主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2019年大会(一社)日本調理科学会
開催地: 中村学園大学
開催日: 2019/08/26 - 2019/08/27
【目的】演者らは炊飯後冷蔵24時間程度までの米飯の初期老化に着目し,冷蔵後の飯粒を厚さ0.1mmに圧縮した試料(圧縮米飯粒)を作成し,色測定と画像解析による初期老化の評価法を考案した。4品種の米飯では,圧縮米飯粒の色や画像解析値と官能評価及び物性測定値には高い相関が認められた1)。本研究ではこの評価法の拡大適用を目的として,調味米飯試料の初期老化の評価を行った。
【方法】洗米・浸漬後,加熱直前に砂糖,食塩,醤油,食酢,合わせ酢を添加して炊飯し,その後米飯を4℃で0-24時間まで冷蔵して試料米飯とした。これを一粒ずつスライドガラス上に置きカバーガラスの上から0.1mmに圧縮して圧縮米飯粒プレパラートを作成し,その色測定(L*)及び顕微鏡観察による画像の輝度値を解析した。官能評価による米飯の老化感,物性測定(表層及び全体の硬さ,粘り)により試料米飯の老化の程度を把握した。
【結果および考察】物性測定では,食塩添加米飯の冷蔵14時間は同時間の白飯よりも全体硬さが大きい傾向を示した。食酢および合わせ酢添加米飯の粘りや付着性は炊飯直後から高く冷蔵後も高値を示し,表層及び全体硬さの冷蔵による増大は小さかった。圧縮米飯粒のL*や画像解析値は食塩添加米飯の冷蔵14時間が他試料よりも老化が進んでいることを示し,食酢や合わせ酢添加米飯の老化抑制傾向を示していた。官能評価において,食酢及び合わせ酢添加米飯の老化感は冷蔵後も他試料より低かった。食塩添加米飯は物性や圧縮米飯粒測定では白飯よりも老化傾向にあったが,老化感は白飯と同程度であり,官能で捉える老化には味の影響が示唆された。1)大田原ら(2018), 日本食品科学工学会誌, 65, 170-182