主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2019年大会(一社)日本調理科学会
開催地: 中村学園大学
開催日: 2019/08/26 - 2019/08/27
【目的】食品に適した大量調理機器を選択し,最適な調理条件を設定することで嗜好・品質特性を高め,給食の調理における効率化および標準化に繋げる基礎資料を得ることを目的とした。
【方法】野菜(じゃがいも,にんじん,ほうれん草)については鍋,スチームコンベクションオーブン(スチコン),バリオクッキングセンター(バリオ)を,また米飯(白飯,ピラフ)についてはバリオ,ガス炊飯器を用い湿式加熱による食品の調理特性を検討した。
【結果および考察】スチコンが最も加熱時間を要した。スチコン加熱は,湿式加熱のうち蒸気による凝縮熱伝導と熱風蒸し操作であるため食材の表面から内部へ温度の上昇は緩慢となり,均一な加熱となることで野菜の糖度は高かった。バリオ加熱は,加熱初期の温度上昇が早く,パン底全面の温度を維持できるためデンプンの糊化が急速に進み,じゃがいもではビタミンCが失われにくかったが,にんじんでは高温で加熱される時間が長くなりビタミンCの分解が進んだ。ほうれん草はスチコンでビタミンCが失われにくかった。ほうれん草の水さらし時間はビタミンCの残存率および有機酸を除去して嗜好性の向上を考慮するとスチコンでは3分,バリオおよび鍋では1分が望ましいと推察した。バリオのほうが炊飯による水分蒸発率が低く,蒸らし終了までの炊飯時間およびピラフ調理時の米の炒め時間が短かった。米を油脂で炒めると時間に比例して遊離脂肪酸が増加し,デンプンの糊化に必要な水分減少が起こるため米のかたさに影響する。一方,組織が損傷されたことで吸水しやすく調味液は入りやすくなる。ガス炊飯器のほうが白飯は穀物らしい味わいを示しピラフは塩味や旨味が高くなりともにバリオでやわらかかった。