日本調理科学会大会研究発表要旨集
2019年度大会(一社)日本調理科学
セッションID: 2B-9
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口頭発表
新タマネギ葉の呈味特性と有効利用法に関する研究
*湯浅 正洋上野 真由子川邊田 晃司森川 真帆石見 百江松澤 哲宏冨永 美穂子
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抄録

【目的】新タマネギの葉は通常, 出荷前に切り取られて廃棄処分されている。 演者らは, これまでに, 新タマネギ葉はコネギに近い呈味を持つことや, コネギと同等以上の抗酸化能を示すことを明らかにしてきた。 以上より, 新タマネギ葉は処分せず, 食品として利用する価値があると考えられるが, その利用法について詳細に検討した例はない。 本研究では, 新タマネギ葉の呈味特性を再検討すると共に, 有効利用法の1つとして, その料理をコネギ料理に準じて調製した。

【方法】新タマネギ葉は兵庫県淡路市産の戎珠, 極早生種とした。 試料は2019年2月に収集し, 真空凍結乾燥法により乾燥させた。 呈味特性は, 味覚応答(味認識装置)および糖組成を測定した。 また, 茹でた葉を用い, 女子学生を対象に官能評価を行った。 料理はコネギ料理に準じて調製し, 官能評価を行った。 すべての項目で, 同時期に収集したコネギと比較し, その特性を評価した。

【結果および考察】新タマネギ葉の味覚応答は, コネギと比べ, 苦味雑味および苦味が低値を, うま味, 塩味, 渋味刺激および旨味コクが高値を示した。 グルコース, フルクトースおよびスクロース含量には, 両者間で違いはみられなかった。 官能評価では, 茹でた新タマネギ葉はコネギと比べて色がやや悪いと評価されたが, 食感や味に関する項目や総合評価に差は認められなかった。 味覚応答からは, 新タマネギ葉とコネギの呈味特性は異なることが示唆されたが, ヒトが食べた場合の味や食感については, 両者間でほとんど差がないと考えられる。 以上の結果を踏まえ, コネギ料理である辛子酢味噌和えとチヂミを新タマネギ葉で調製し, 官能評価を行ったので, その結果についても報告する。

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