主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2021年大会(一社)日本調理科学会
開催地: 実践女子大学 日野キャンパス
開催日: 2021/09/07 - 2021/09/08
【目的】小豆を含めた雑豆類の摂取量は,近年減少傾向にある。小豆の摂取向上には「おいしく小豆を調製する」ことが求められる。そのためには小豆のおいしさに関わる要因の制御法を構築することが重要である。そこで本研究では,小豆の食味に関わるテクスチャーとにおいに着目し,それらが食味に及ぼす影響について検討した。
【方法】試料は,きたろまんおよび大納言小豆の京都大納言とした。小豆を煮熟後,練り時間の異なる餡を調製し,それらの餡粒子およびデンプン等を含めた粒子の大きさを光学顕微鏡および粒度分布測定機にて測定した。餡へ副材料を添加した際のにおいの変化は,におい識別装置(FF-2020,SHIMADZU)を用いて測定し,データを付属のソフトウェアにて絶対値表現解析で評価した。また,調製した餡のテクスチャーおよびにおいについて官能評価も行った。
【結果・考察】小豆は,煮熟後の練り工程によって餡粒子が崩壊しでんぷん粒が流亡することで平均粒子径およびメジアン系が小さくなり,官能評価においてもざらつきが小さいと評価された。また,同一品種の小豆であっても百粒重が大きいものほど餡粒子は大きく,小豆の大きさも餡のテクスチャーに関与することが示唆された。一方で,餡のテクスチャーに関与するざらつきへの影響は,餡を構成する粒子の大きさだけでなく,餡の水分量や副材料の添加によって変化した。特に,脂質含量の高い副材料の場合,粒子径に変化がないにもかかわらずざらつきが小さいと評価された。これは,餡粒子やその他粒子を油脂がコーティングすることが要因と考えられる。また,副材料によるにおいの変化は,乳製品による変化が最も大きいことがにおい識別装置測定および官能評価より明らかになった。