2021 年 20 巻 3 号 p. 43-68
本研究では、国内マザー工場移転の中での技能継承活動という堀場製作所でのケースを取り上げる。注目したケースは、干渉フィルタ製造工程のひとつである蒸着工程であり、装置の操作などに高度な熟練技能を必要とする特徴をもつ。この工程では、技能伝承がなおざりにされがちな状況下で取り組んだOJTにより、技能伝承の効率化を実現した。詳細なケース分析の結果、その要因は、1) 異なる特徴を持つOJTの組合せ、2) マザー工場移転という緊迫した状況、そして3) “積極性”を醸成する内省支援OJTの三つからなることが明らかになった。