2005 年 4 巻 10 号 p. 495-514
日本触媒が1983年に上市した高吸水性ポリマー「アクアリックCA」は、国内市場において紙おむつの普及を促した原料である。現在は欧米市場でも高いシェアを獲得している。しかし、もともとは紙おむつ用途を念頭に置いて開発されたものではなく、上市までの道程は決して平坦なものではなかった。本ケースから、技術開発や供給契約、ライセンス契約などにおける様々な失敗を成功に結びつけてきた様相が伺えよう。またその過程で、「顧客システム」を念頭に置いた評価技術の蓄積などが有効である可能性も示唆される。