2005 年 4 巻 6 号 p. 261-280
優れたコンテンツを開発するためには、実に多くの要素が必要とされる。資金調達の方法、マーケティング、知的財産権の問題等。ここでは、これらの要素にも関連するが、実際にコンテンツを開発する主体として、プロデューサーと呼ばれる人々に焦点を定める。この視点からすると、競争力のある優れたコンテンツを開発する決め手となるのは、プロデューサーのもつ能力ということになる。しかしながら、われわれは、そこにいったいどのような能力が求められているのかをよく知らないでいる。本セッションの意義はまさにここにある。優れたプロデューサーに求められる能力とはいったいどのようなものなのか。この重要かつ興味深いテーマについて議論するため、本セッションは実際にハリウッドにおいて映画製作を行ってきた御影雅良氏、そしてNHKにおいてドキュメンタリー番組のディレクターを務める太田良一氏の経験や考え方を説明してもらった。構成としては、まずモデレーターである山下より、議論を進めるうえでのフレームワークと仮説を提示し、それに続いて御影氏と太田氏の両名の具体的な話が展開される。