優れたコンテンツを開発するためには、実に多くの要素が必要とされる。資金調達の方法、マーケティング、知的財産権の問題等。ここでは、これらの要素にも関連するが、実際にコンテンツを開発する主体として、プロデューサーと呼ばれる人々に焦点を定める。この視点からすると、競争力のある優れたコンテンツを開発する決め手となるのは、プロデューサーのもつ能力ということになる。しかしながら、われわれは、そこにいったいどのような能力が求められているのかをよく知らないでいる。本セッションの意義はまさにここにある。優れたプロデューサーに求められる能力とはいったいどのようなものなのか。この重要かつ興味深いテーマについて議論するため、本セッションは実際にハリウッドにおいて映画製作を行ってきた御影雅良氏、そしてNHKにおいてドキュメンタリー番組のディレクターを務める太田良一氏の経験や考え方を説明してもらった。構成としては、まずモデレーターである山下より、議論を進めるうえでのフレームワークと仮説を提示し、それに続いて御影氏と太田氏の両名の具体的な話が展開される。
連載「ネットワーク分析と可視化の技法」の第二部である「ネットワーク可視化の技法―Pajekの使い方」では、UCINETに組み込まれている大規模ネットワークの解析ソフトウェア、Pajekの解説を行う。Pajekでは、UCINETと同様にネットワーク分析に関する様々な指標を計算することも可能だが、本稿においてはPajekのネットワークの描画機能に絞って解説をする。ネットワーク分析をする際の基本は、ネットワークを描いてみることである。しかし、これまでは適切なツールがなく、大規模ネットワークの描画は非常に困難であった。また、描かれたネットワークを分析に応じて整理するためには煩雑な手作業が必要だった。大規模なネットワークの分析・描画を行えるPajekはこれらの問題に対処するための優れたソフトウェアと言えよう。本解説ではPajekの描画機能を解説するわけだが、本解説がネットワーク可視化の技法習得の入り口になれば幸いである。本解説は2-1から2-10までの10項目で構成されている。これら10項目は次の三つに大きく分けられる。2-1から2-5では、データの読み込み、描画、保存という一連の流れを簡潔に解説する。2-6から2-8では、読み込みファイルにコマンドを入力することでネットワーク図を高度にカスタマイズする方法を解説する。2-9と2-10では、時系列で変化するネットワークを描画する方法を説明する。
本稿では、設計概念とリカード的な比較優位論との融合を試みる。製品費用は、生産費用と設計費用との合計であり、生産費用については、従来どおりの議論でも良いが、設計費用については、設計パラメータ調整費用の差を見る必要がある。設計費用は、科学的調整の費用と試行錯誤的な調整の費用との合計とみなせる。日本企業の設計パラメータを調整するスピードが速いとすると、モジュール数が多く、既知の科学的知識の少ない(現場試行錯誤への依存度の高い)「擦り合わせ型」製品で、設計費用に関する日本企業の比較優位が生じる、という予想を得る。