2010 年 9 巻 6 号 p. 405-436
本稿では重要度が増している知的財産マネジメントを、クローズドとオープンの観点から論じる。まず、キヤノンの知財マネジメントを考察し、企業活動を「3軸 (ビジネスモデル、知的財産権、技術進化の自由度)」で捉えることを提案する。次に、IBMとサムスン電子について、ビジネスモデルと知的財産の観点から考察し、IBMの「強みをカネに変える仕組み」と、サムスン電子の「プリンタ事業への新規参入」について、3軸の観点から分析を行う。また、オープンの方向に進んでいる社会環境に適合したビジネスモデルの重要性についても議論する。最後に「ストーリー性のある積分型ビジネスモデル」で成功を収めたIBMとサムスン電子の事例を分析し、日本企業に必要な、今の環境に合うビジネスモデルについて考察する。