2022 年 59 巻 3 号 p. 301-305
排尿は,橋などの排尿中枢を介し,最終的に脊髄副交感節前ニューロンの指令により膀胱が収縮することで開始される.著者らは排尿時の副交感節前ニューロンの生理的役割を明確にするために,脊髄ニューロン活動と下部尿路活動を同時に記録・解析するin vivooパッチクランプ記録法を開発した.排尿時in vivoの節前ニューロンは一過性に発火し,同時に膀胱内圧の上昇や尿道内圧の減少を惹起した.また,シナプス応答や膜電位変化など神経興奮の詳細な機構が明らかとなった.本稿は,in vivoの電気生理学的手法を概説し,排尿時の脊髄神経機構を紹介する.本法は生理的役割の解明に加え,薬効解析や神経因性の病態解明にも有用と思われる.