抄録
市販の栽培きのこおよび自然界から分離した野生きのこについて,菌糸体培養を行い,培養液中に産生した線溶酵素の検索を行った.その結果,タモギタケ栽培品種と自然界から採取したマスタケ,カワラタケ属,スエヒロタケおよびキシメジ科のきのこの分離株に線溶活性を見出した.プロテイナーゼ阻害剤の作用を調べた結果から,セリンプロテイナーゼに類似する酵素と推定された.いずれのきのこも,ウシおよびヒト・フィブリンを同程度に溶解した.特に,野生株W510の産生する線溶酵素は熱安定性で,ナットウキナーゼに性質が類似したが,室温で1年間放置後もはぼ活性の低下が見られないことでは,ナットウキナーゼと異なった.