1997 年 5 巻 2 号 p. 99-102
Collybia reinakeanaは,フイリッピンの山地に産するきのこで,原産地の住民の間では食用および薬用きのことして伝承されている.しかし,このきのこの人工栽培法は確立されていない.著者らは,C. reinakeanaの人工栽培技術の確立を目的として,子実体形成について検討を行った.また,栽培によって得られた子実体および継代培養菌糸体の形態学的特徴と菌糸体の生長に影響を及ぼす培地条件についても検討を行った.Collybia reinakeanaの菌糸体は,炭素源としてマルトース,窒素源としてロイシン,またリボフラビンとmyo-イノシトールを強化し,pH6.0に調整した半合成寒天培地上で良好に生長した.培養に好適な温度は30℃,相対湿度は70%以上であった.また,サトウキビの葉とバガスをコンポスト処理した培地で子実体が安定に形成された.