エノキタケの二核菌糸株とその交配親株である一核菌糸株の菌糸体のSODおよびPO活性を測定し,子実体白色性形質発現とSODおよびフェノールオキシダーゼの相対活性の相関について検討を行った.供試した多数のエノキタケ白色子実体形成株は純白系品種(MAおよびFY)を親株とするものが多く,在来着色種のJおよびRの交雑株の多くは着色子実体を形成した.このことから,子実体白色性形質が遺伝形質であることが示された.エノキタケの純白系品種の白さの主因は,菌体内の高いSOD活性の機能にあると推測された.また,子実体白色化は,着色反応系と還元反応系のバランス,即ち,PO/SOD活性比の低いものは白色,高いものは着色を示すことが推測された.一核親株のSOD活性と二核交雑株における酵素活性の相関により,一核親株と交雑株におけるSOD活性の発現に遺伝性があることが示された.一方,PO 活性については一核親株と交雑株の活性に明確な規則性のある関連は見いだせなかった.両酵素を電気泳動により分析したところ,SODは単一酵素構成であったが,PO酵素はアイソザイム構成であった.
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