抄録
シイタケ菌床における熟成度の変化を定量化するため,子実体の成長過程の7つの相で各種方法について検討した.子実体を発生した菌床と発生しない菌床では,各々異なった挙動が認められた.グルコサミン含有量は子実体の開傘時に極大値がみられた.エルゴステロールおよびリン脂質含有量は子実体を発生した菌床で高い値を示し,また子実体形成およびその成長に伴って急増した.FDA分解活性で測定したエステラーゼ活性は,子実体の成長に伴って増加傾向がみられた.ここで用いた各種成分の含有量や経時変化は,子実体形成ならびに成長と深く関連していることが明らかになった.これらの方法を用いることによって子実体の発生能や発生時期を把握できるものと考えられる.