日本応用きのこ学会誌
Online ISSN : 2433-0957
Print ISSN : 1345-3424
6 巻, 3 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 中谷 誠, 米山 彰造, 加藤 幸浩, 山村 忠明, 大賀 祥治
    原稿種別: 本文
    1998 年6 巻3 号 p. 95-99
    発行日: 1998/10/31
    公開日: 2018/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
    シイタケ原木栽培後の廃ホダ木から調製したおが粉がヒラタケ栽培株およびエノキタケ野生株の菌床栽培の培地材料として再利用可能かどうかを,北海道で通常の栽培に用いられる広葉樹(ミズナラ)や針葉樹(トドマツ)おが粉を用いた場合と比較検討した.栽培試験の結果,シイタケ廃ホダ木を用いた栽培は,トドマツのおが粉を用いた栽培に比べて子実体収量でやや劣ったが,ミズナラおが粉と同等の収量性を示した.しかし,生殖生長に関わる発茸日数および総培養日数は,廃ホダ木のおが粉を用いた培地ではトドマツの培地に比べて短縮され,総合的評価で高い生産性を示した.これらの結果から,廃ホダ木のおが粉はヒラタケおよびエノキタケ野生株の栽培に再利用可能であることが示された.
  • 関谷 敦, 馬替 由美, 植竹 法子, 西田 清隆
    原稿種別: 本文
    1998 年6 巻3 号 p. 101-106
    発行日: 1998/10/31
    公開日: 2018/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
    エリスリトールは糖アルコールの一つでノンカロリー甘味料として食品に利用されている.本実験では,エリスルトール生産の副産物である使用済みエリスリトール生産酵母(UEPY)をヒラタケ栽培の培地栄養剤として検討し,以下のことが明らかになった.1.培地の米糠添加量の25%〜75%をUEPYに置換した場合,ヒラタケ子実体収量は米糠単独より27%〜44%増加した.2.米糠を用いずUEPYのみ培地に添加した場合は,菌廻りするが,子実体は発生しなかった.3.UEPYと米糠の成分を比較では,UEPY中に糖質および粗蛋白質がより多く含まれることから,米糠添加培地に炭素源,窒素源を添加して子実体発生試験を行ったが,子実体増収とはならなかった.4.子実体発生の認められなかったUEPY培地にカリウム塩,リン塩あるいはマグネシウム塩を添加すると子実体が形成され,なかでもカリウム塩添加が子実体収量を増加させた.UEPYのカリウム不足が子実体が発生しない原因を考えられた.5.子実体生長と菌糸体生長に必要な無機質量は相異なっていた.
  • 大賀 祥治, David A. Wood, Melvyn Smith, Christopher F. Thurston
    原稿種別: 本文
    1998 年6 巻3 号 p. 107-113
    発行日: 1998/10/31
    公開日: 2018/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
    ツクリタケ栽培コンポスト中の菌体外酵素活性を調べたところ,子実体形成に伴ってラッカーゼ活性が低下し,セルラーゼ活性は上昇した.ラッカーゼ遺伝子はコンポストで菌糸体が蔓延するときに最も高く,子実体形成が進むにつれてほとんど消失し,子実体を収穫後の培地や2回目の発生過程にある培地で再び発現した.一方,セルラーゼ遺伝子は菌糸体蔓延時はほとんど検出されず,子実体原基形成後に発現し,開傘時に最大値を示し,その後次第に減少して2回目発生の際に再び発現した.これらの酵素遺伝子の消長には明瞭な時間的差異が認められ,しかも子実体成長過程での菌体外酵素活性の増減に対応していた.各酵素遺伝子はそれぞれmRNA生合成レベルで制御を受けていると思われる.
  • 大賀 祥治, John D. Donoghue
    原稿種別: 本文
    1998 年6 巻3 号 p. 115-123
    発行日: 1998/10/31
    公開日: 2018/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
    シイタケ菌床における熟成度の変化を定量化するため,子実体の成長過程の7つの相で各種方法について検討した.子実体を発生した菌床と発生しない菌床では,各々異なった挙動が認められた.グルコサミン含有量は子実体の開傘時に極大値がみられた.エルゴステロールおよびリン脂質含有量は子実体を発生した菌床で高い値を示し,また子実体形成およびその成長に伴って急増した.FDA分解活性で測定したエステラーゼ活性は,子実体の成長に伴って増加傾向がみられた.ここで用いた各種成分の含有量や経時変化は,子実体形成ならびに成長と深く関連していることが明らかになった.これらの方法を用いることによって子実体の発生能や発生時期を把握できるものと考えられる.
  • 富樫 巌, 宜寿次 盛生, 原田 陽
    原稿種別: 本文
    1998 年6 巻3 号 p. 125-128
    発行日: 1998/10/31
    公開日: 2018/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
    マイタケ子実体の鮮度劣化に対する包装材料(材質や厚さの異なるプラスチック・フイルム4種類),貯蔵温度(3,16,22℃)および貯蔵期間の影響を調べた.子実体の自己消化水の生成量を鮮度劣化の指標とした.その結果,貯蔵温度が高いほど自己消化水の生成量が増加した.貯蔵温度3℃では,包装材料の種類に関係なく,貯蔵3週間まで自己消化水がほとんど生じなかった.貯蔵温度16および22℃では包装材料の効果がみられ,2週間までの貯蔵では厚い包装材料ほど自己消化水の生成量が少ない傾向が観察された.
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