抄録
ツクリタケ栽培コンポスト中の菌体外酵素活性を調べたところ,子実体形成に伴ってラッカーゼ活性が低下し,セルラーゼ活性は上昇した.ラッカーゼ遺伝子はコンポストで菌糸体が蔓延するときに最も高く,子実体形成が進むにつれてほとんど消失し,子実体を収穫後の培地や2回目の発生過程にある培地で再び発現した.一方,セルラーゼ遺伝子は菌糸体蔓延時はほとんど検出されず,子実体原基形成後に発現し,開傘時に最大値を示し,その後次第に減少して2回目発生の際に再び発現した.これらの酵素遺伝子の消長には明瞭な時間的差異が認められ,しかも子実体成長過程での菌体外酵素活性の増減に対応していた.各酵素遺伝子はそれぞれmRNA生合成レベルで制御を受けていると思われる.