抄録
通常,清酒はアミラーゼを生産するカビAspergillus oryzaeとアルコール脱水素酵素を有する酵母Saccharomyces cerevisiaeを用いて生産されている.本研究では,ある種のきのこがアルコール脱水素酵素とアミラーゼを生産することを見出し, S.cerevisiseとA.oryzaeに代えて,きのこを用いて清酒を生産することを検討した.アガリクス茸を用いて清酒を生産した場合,最も高い1736mM(8.0%)のアルコール濃度が得られた.この方法で生産した清酒は,ガンに対して予防効果を示すβ-D-グルカン(0.03%)と血栓症予防効果を示す抗トロンビン活性物質を含むことを明らかにした.