日本応用きのこ学会誌
Online ISSN : 2433-0957
Print ISSN : 1345-3424
8 巻, 3 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 岡村 徳光, 緒方 , 豊田 麻志帆, 田中 真理香, 南本 記江, 竹野 智美, 野田 裕子, 福田 祥子, 大杉 匡弘
    原稿種別: 本文
    2000 年 8 巻 3 号 p. 109-114
    発行日: 2000/10/30
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル オープンアクセス
    通常,清酒はアミラーゼを生産するカビAspergillus oryzaeとアルコール脱水素酵素を有する酵母Saccharomyces cerevisiaeを用いて生産されている.本研究では,ある種のきのこがアルコール脱水素酵素とアミラーゼを生産することを見出し, S.cerevisiseとA.oryzaeに代えて,きのこを用いて清酒を生産することを検討した.アガリクス茸を用いて清酒を生産した場合,最も高い1736mM(8.0%)のアルコール濃度が得られた.この方法で生産した清酒は,ガンに対して予防効果を示すβ-D-グルカン(0.03%)と血栓症予防効果を示す抗トロンビン活性物質を含むことを明らかにした.
  • 寺下 隆夫, 楠田 瑞穂, 松川 祥子, 永井 勝, 吉川 賢太郎, 坂井 拓夫
    原稿種別: 本文
    2000 年 8 巻 3 号 p. 115-120
    発行日: 2000/10/30
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル オープンアクセス
    外生菌根形成菌,マツタケ(Tricholoma matsutake)の栄養菌糸生育期における菌体外アミラーゼ活性について,マツタケ改変液体培地を用いて検討した.培養液中のアミラーゼ活性(α-アミラーゼおよびグルコアミラーゼ)は培養40日目頃から上昇し,培養終期(80日目)に最も高い値を示した.α-アミラーゼは両菌株ともグルコアミラーゼ活性より高い値を示した.大麦(5種),トウモロコシ,サツマイモ,ジャガイモの精製デンプンを基質として,培養60日目の培養液と酵素反応させたところ,大麦の「うるち種」では対照として用いたジャガイモデンプンの約2倍のアミラーゼ活性を示した.また,各種のイモ類を培地に添加し,マツタケ菌糸を培養した結果,ジャガイモおよびヤマノイモ(ナガイモ)で約4.8〜6.0倍の栄養菌糸生育の促進が観察され,その際のアミラーゼ活性も,イモ類無添加の対照区に比較して,1.9〜2.6倍高い値を示し,菌糸生育とアミラーゼ活性の間に正の相関が認められた.
  • 岡村 徳光, 竹野 智美, 福田 祥子, 毛利 明子, 野田 裕子, 家本 敦子, 堀江 登, 大杉 匡弘
    原稿種別: 本文
    2000 年 8 巻 3 号 p. 121-125
    発行日: 2000/10/30
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル オープンアクセス
    血栓症は,日本や欧米諸国において,主な死因の一つであるため,フィブリン形成を抑制する抗トロンビン活性物質の探索が望まれている.本研究では,マスタケが抗トロンビン活性物質を生産することを見出した.マスタケの培養液における血液凝固時間(トロンビン時間)は,コントロール(2%マルツエキス培地)の44倍以上であった.その他の菌株には,抗トロンビン活性は認められなかった.オガクズ培地での人工栽培は困難であったが,組織培養瓶を用いた液体培養法では,大きな子実体を形成させることができた.好気的条件下(25℃)で2%マルツエキス液体培地を用いてマスタケを培養したところ,培養開始5〜6日目から抗トロンビン物質の生産が始まり,培養14〜20日目に最大生産量に達した.
feedback
Top