個別報告論文
カンボジアにおける子どもの身長・体重の決定要因
―分位点回帰分析より―
2013 年 49 巻 1 号 p. 188-193
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2013 年 49 巻 1 号 p. 188-193
本稿の目的は，開発途上国のひとつであるカンボジアの5歳未満の子どもの身長と体重で測った栄養状態の決定要因について，カンボジア社会経済調査（CSES）2009からのデータを用いて，分位点回帰分析の手法により検証することである．子どもの栄養状態は，その分布の位置により決定要因およびその影響が異なるものと考えられるが，多くの既往研究が用いているOLSなどの標準的な分析手法では，その違いについては考慮しきれない．そこで，CSES 2009のデータを用いて，分位点回帰分析を行うことで，これまで同手法を用いた実証分析がなされていないカンボジアにおいて，5歳未満児の栄養状態の決定要因に関する新たな知見を提示することが可能となると考える．実証分析の結果，家計の食料消費・保有資産，父親の教育，衛生施設や食料不足の有無などの変数について，それらの影響が栄養状態の分布の位置によりそれぞれ異なるという結論が得られた．
