応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌
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総説―受賞論文―
結晶性糖質分解酵素の構造機能解析
中村 彰彦
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2025 年 15 巻 1 号 p. 18-23

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抄録

結晶性のセルロースやキチンは不溶性の固体であり,分解酵素はその表面に吸着する必要がある.そこで蛍光1分子計測により糖質分解酵素ファミリー6の糸状菌由来酵素とバクテリア由来酵素の吸着に寄与するドメインの比較を行った.また結晶分解可能な酵素は,結晶表面の分子鎖を加水分解しながら運動する.セラチア菌由来キチナーゼAは蛍光1分子計測による吸脱着速度定数に加え,散乱1分子計測による運動素過程の速度定数と高速原子間力顕微鏡による生成物の運動阻害定数の解析も行い,反応中全ての速度定数の決定を行った.トリコデルマ由来糖質分解酵素ファミリー7のプロセッシブセルラーゼでは,3種のオリゴ糖と天然型及び2種の変異体酵素の反応をグローバルフィッティング法で解析した.得られた基質阻害定数より,基質結合トンネルのどちら側から基質が入りやすいのか明らかにすることができた.

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