2026 年 16 巻 2 号 p. 107-110
近年,全国的な異常気象により作物の高温障害が発生している.清酒業界も例に漏れず,高温障害により蒸米が溶けないという現象に見舞われていて対応に各社苦慮している.清酒製造において酒米の溶解性は目的とする酒質に影響を及ぼすため,酒造現場からは,「目の前の酒米を使用した蒸米の溶けやすさを知りたい」,「仕込開始時期での苦慮を軽減させたい」といった要望がある.しかしながら,酒米研究会による酒造用原料米全国統一分析値の公表は,仕込開始時期より後となっており,また各社が実際の製造で使用する酒米ではないため,分析値は参考程度とされているのが現状である.仕込開始時期より前に酒米の溶解性を把握することが出来れば,製造管理に対して早期に反映することができる.本稿では,迅速分析法として酒米の澱粉特性を把握できるラピッド・ビスコ・アナライザー(RVA:Rapid Visco Analyser)に着目し,全国各地の酒造会社で実際の製造に用いられている酒米10種類の分析を行い,酒米の品質(溶解性)評価方法について検討した.現時点ではデータ取りを開始したところであるため,継続して分析を行い,現場での蒸米の溶けやすさの評価と併せて年次間比較をしていく.