応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌
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【ミニレビュー:第7回応用糖質フレッシュシンポジウム】 Trichoderma reesei を用いたバイオマス糖化酵素の開発
柴田 望末次 真梨新井 俊陽児玉 武子掛下 大視五十嵐 一暁
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2019 年 9 巻 4 号 p. 249-253

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抄録

高効率な糖化酵素の獲得はバイオマスを効率的に利用していくためには必要不可欠である.当社では糸状菌Trichoderma reesei を用いたバイオマス糖化酵素の開発検討を進めてきている.これまでに検討を行ってきた,糖化酵素の高機能化,工業用生産菌の構築,安価な大量生産技術の開発の3点について紹介する.高糖化性酵素を構築することを目的に,T. reesei の生産する酵素に対して添加効果を有する酵素を生産する菌を探索した結果,Penicillium sp. KSM-F532株の培養上清に高い添加効果を示す酵素が含まれていることが明らかとなった.そこで,有効成分を単離同定した結果,本菌が所有する新規キシラナーゼが高い添加効果を示していることが明らかとなった.本酵素はCBM1を有していることから,セルロース表面に存在するキシランを効率よく分解し,セルラーゼのアクセスを向上させることでバイオマス分解を促進することが推察された.より安価な酵素生産技術の確立を目指し,生産菌の変異育種を実施した.その結果,高速高生産変異株93G3を取得し,その生産性向上因子の一つがSre1の欠損であることを見出した.本株にこれまでに取得した糖化性向上技術を統合し,高糖化性酵素の高生産菌を構築した.低コスト培養技術開発を行うことを目的に,粉砕パルプを用いた培養技術の開発を行い,本培養技術について実機相当の培養槽におけるスケールアップを達成した.

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© 2019 一般社団法人 日本応用糖質科学会
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