抄録
本研究では,岐阜大酵母GY115株の高泡非形成型変異株(泡なし酵母)の育種とその産業利用を見据えた醸造条件の検討を目的とした。まず,Froth flotation法を用いてGY115株由来の泡なし酵母を5株獲得した。これら5株の中から,発酵力が最も高く,醸造した清酒の味にキレがあり,さらには親株であるGY115株と同様に多酸性の性質を持ち合わせていたGY115-a3株を泡なし岐阜大酵母株として選抜した。次にGY115-a3株の発酵特性を活かしたより良い清酒醸造条件の検討を行ったところ,GY115-a3株は低温(もろみ最高温度10.2℃)にて発酵させることにより,特徴的な有機酸組成に由来する酸味を活かした低アルコール清酒(日本酒度-16.1,酸度2.27)を醸すことができた。これら結果は,泡なし岐阜大酵母GY115-a3株の個性を活かした新たな清酒商品を開発できる可能性を示している。