美味技術学会誌
Online ISSN : 2186-7232
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論文
クモノスカビを用いた粉末発酵種スタータがパン品質に与える影響
濱田 和広
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2020 年 19 巻 1 号 p. 30-36

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抄録
紹興酒の製造に利用されているクモノスカビ,パン酵母,乳酸菌を混合した粉末発酵種スタータを試作し,パンの品質向上に対する効果について検討を行った。粉末発酵種スタータを使用した生地は,クモノスカビやパン酵母粉末に含まれているグルタチオンの作用で生地が柔らかくなる傾向があり,分割および成型時の作業性が向上するとともに焼成後のパンの容積が大きくなった。また,パン酵母や乳酸菌の微生物の発酵で生成した乳酸等の有機酸やエタノール等の香気成分により,芳醇な風味や食感が改善されたパンができ,パンの老化抑制やパン表面のカビの増殖を遅延させることもできた。 本報では,クモノスカビを含む微生物が生地中でどのように働いているかの詳細な検討を行っていないため,今後,詳細なメカニズムの検討が必要である。
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