2023 年 22 巻 1 号 p. 6-13
津軽地方でつくられている飯寿司の1 種である‘すしこ’の発酵に関与する微生物を,乳酸菌と酵母を中心に調べた。
‘すしこ’からは,乳酸菌としてLatilactobacillus sakeiおよびLactiplantibaciullus plantarumが,酵母としてKazachstania servazziiおよびWickerhamomyces anomalusが分離され,製造時期により見いだされる菌種および構成が異なっていた。8月につくられた‘すしこ’では,細菌叢の92~95%をL. plantarumが占めていた。真菌叢はK. servazziiおよびW. anomalusで占められており,それぞれ44%および54.8%であった。4℃で1か月間冷蔵保存したところ,84.1%がK. servazziiとなっていた。すしこの発酵に関与する微生物は,製造する季節によって異なり,風味の変化をもたらすと考えられた。また,冷蔵保存中にも酵母による発酵が進み,風味が変化することが示唆された。