美味技術学会誌
Online ISSN : 2186-7232
Print ISSN : 2186-7224
22 巻, 1 号
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論説
  • 松添 直隆
    2023 年 22 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/03
    ジャーナル フリー
     日本人は,豊かな海山の幸に恵まれ,高い食品製造技術により「おいしい」国に生きている。一方,便利で豊かな食生活が自然や環境に与える影響は大きくなった。地球温暖化・異常気象による自然災害,食品ロスと飢餓(食の不均衡)など,現代社会が抱える問題が広がっている。地球規模の環境に関する課題に対して,各国でSDGs(Sustainable Development Goals,持続可能な開発目標)の取り組みを進めている。企業経営には経済的価値から社会的価値への転換,消費者には環境や労働条件ならびに人権などを考慮した商品の購入が求められている。「おいしさ」を包含する研究分野は非常に多く,人や社会が「おいしさ」に求めるもの,期待するものはさらに広がるであろう。本論説が,現代社会の抱える問題や危機管理に対して,「おいしさ」や美味技術の可能性を考える機会になれば幸いである。
論文
  • 堀江 祐範, 七島 直樹
    2023 年 22 巻 1 号 p. 6-13
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/03
    ジャーナル フリー
     津軽地方でつくられている飯寿司の1 種である‘すしこ’の発酵に関与する微生物を,乳酸菌と酵母を中心に調べた。
     ‘すしこ’からは,乳酸菌としてLatilactobacillus sakeiおよびLactiplantibaciullus plantarumが,酵母としてKazachstania servazziiおよびWickerhamomyces anomalusが分離され,製造時期により見いだされる菌種および構成が異なっていた。8月につくられた‘すしこ’では,細菌叢の92~95%をL. plantarumが占めていた。真菌叢はK. servazziiおよびW. anomalusで占められており,それぞれ44%および54.8%であった。4℃で1か月間冷蔵保存したところ,84.1%がK. servazziiとなっていた。すしこの発酵に関与する微生物は,製造する季節によって異なり,風味の変化をもたらすと考えられた。また,冷蔵保存中にも酵母による発酵が進み,風味が変化することが示唆された。
  • 達 美月, 勝野 那嘉子, 今泉 鉄平, 西津 貴久
    2023 年 22 巻 1 号 p. 14-19
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/03
    ジャーナル フリー
     チョコレートの品質において香気は重要な要素の一つである。チョコレートは長期保存が可能な食品であるが,保存により品質は劣化し,香気は減少する。本研究は,カカオ含有率27-72%の4種類のチョコレートを用いて液体脂と固体脂割合の違いが及ぼす保存中の香気減少と結晶量や融点などの油脂物性変化への影響を明らかにした。香気成分量は保存により減少した。減少量はカカオ含有率に依存し,カカオ含有率が低い試料ほど減少量は多かった。また,保存14日の30℃における固体脂割合は高カカオ試料で増加し,保存開始から14日間は高カカオ試料で香気が保持される傾向にあった。このことから,固体脂質相の増加が保存中の香気の放散を抑制することが示唆された。
資料
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