抄録
本研究ではヘリウムグロー放電プラズマとNd : YAGレーザーを組み合わせたレーザーアブレーション支援高周波ヘリウムグロー放電発光分析法の開発を行った.高周波グロー放電発光分析法は,放電管中で発生させたプラズマにより試料に対するスパッタリングを行い,プラズマ中への試料導入・励起を行う分析法である.通常プラズマガスにはスパッタリング速度の大きさからアルゴンが使用されるが.鉄鋼中の不純物元素の中にはアルゴンプラズマでは励起発光が難しいものが多く存在し,この分析手法の課題となっている.そこで今回高周波グロー放電発光分光法の高感度化・高精度化を目的としてレーザーアブレーション支援高周波ヘリウムグロー放電プラズマ発光分析法を開発した.この手法ではプラズマ中への試料導入をレーザーアブレーションでのみ実行し,励起発光はヘリウムプラズマによって支配的に行うことを試みた.これはヘリウムプラズマの試料に対するスパッタリング速度が非常に低いという特性を利用し,ヘリウムプラズマによる励起過程とレーザーによるサンプリング過程をそれぞれ独自に制御することを目的としたものである.更にヘリウムプラズマはアルゴンプラズマに比べ高い励起能力を持つため,従来では励起が困難な元素に対して高感度な分析を行うことが期待できる.本研究では,通常アルゴンを用いたグロー放電プラズマでは検出が困難な高い励起エネルギーを必要とするフッ素を含んだ銅試料を対象としてフッ素の直接定量を行った.検量線の測定をFI 685.602 nmを用いてLiF 0.02~5.0 mass% の濃度範囲で測定したところ,結果として良好な直線関係が得られた.