抄録
1. 近年,暖地で発生の多い裂傷型凍害には,顕著な品種間差異があることが明らかになったので,各地における発生事例の収集に努めた。現地における品種の抵抗性と,新しく開発された抵抗性検定法の結果に基づいて,主要品種の抵抗性のランクづけを行った(表4)。
2. 裂傷型凍害の抵抗性の強弱と,チャ品種の栽培北限を決める厳寒期の成葉の耐凍性,萌芽期の早晩,樹勢の強弱ならびに製茶品質の良否との間には,一定の関係は認められなかった。
3. 裂傷型凍害の抵抗性検定法は,初霜期の幼木の幹の耐凍性検定と,反復低温処理によって裂傷を発生させる方法とが有効であった。また,より簡易で育成の過程にとり入れやすい方法としては,成木の夏から秋にかけてよく伸びた枝条の耐凍性ならびに形成層活性(皮層のむけやすさと水分の多少で判定)をみる方法が効果的なことを確かめた。
4. 抵抗性検定の時期は,10月下旬-11月下旬(宮崎茶業支場)のおよそ1カ月間が適期と考えられた。