日本畜産学会報
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一般論文(原著)
イネホールクロップサイレージを給与した乾乳牛の維持に要する代謝エネルギー量のエネルギー出納および行動解析に基づく推定
樋口 浩二田鎖 直澄野中 最子田島 清都丸 友久大谷 文博小林 洋介石川 哲也栗原 光規永西 修
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2015 年 86 巻 2 号 p. 169-177

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抄録
イネホールクロップサイレージを給与した乳牛の維持に要する代謝エネルギー要求量(MEm)を明らかにする目的で,ホルスタイン種非妊娠乾乳牛を用い,37例のエネルギー出納試験成績を収集した.MEmの推定には,代謝エネルギー摂取量に対する蓄積エネルギーの回帰式より求める従来の推定方法に加え,エネルギー出納試験の際の呼吸試験により咀嚼や起伏といった動物の行動に伴う熱発生量を測定し,重回帰分析でMEmを推定する方法を用いた.その結果,エネルギー出納成績から求められたMEm値(kcal・kgBW−0.75/day)は121.6となった.一方,行動に伴う熱発生量より重回帰分析で求めたMEm値も121.6であった.咀嚼時間および佇立時間の変動幅を加味したMEm値は118.6〜125.8の範囲にあった.以上の結果より,イネホールクロップサイレージを給与した乾乳牛のMEmは121.6程度と求められ,これは現行日本飼養標準で示されている乳牛のMEm値(116.2)と近似した.
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© 2015 公益社団法人 日本畜産学会
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