日本畜産学会報
Online ISSN : 1880-8255
Print ISSN : 1346-907X
ISSN-L : 1880-8255
一般論文(原著)
塩素含量の異なるトウモロコシサイレージ給与が乾乳牛のミネラル出納に及ぼす影響
神谷 裕子加藤 直樹服部 育男野中 最子田中 正仁
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 86 巻 4 号 p. 449-455

詳細
抄録

塩素(Cl)含量の違いによりカチオンアニオンバランス(DCAD)値の異なるトウモロコシサイレージの給与が,ミネラル出納に及ぼす影響を検討するために,非妊娠乾乳牛4頭を供試して,クロスオーバー法による飼養試験を行った.トウモロコシは,カリウム(K)および窒素肥料において,塩素系(低DCAD区)または硫酸系肥料(高DCAD区)を用いて栽培した.トウモロコシサイレージのCl含量は低DCAD区で5.3 g/kg,高DCAD区で3.5g/kgであったが,K,ナトリウム(Na)および硫黄(S)含量には大きな差は認められなかった.トウモロコシサイレージのDCAD値は,低DCAD区で195.1mEq/kg,高DCAD区で267.8mEq/kgであった.低DCAD区では,高DCAD区と比較し,Cl摂取量および腸管での吸収量が有意に(P<0.01)増加した.腸管でのK, Na, S吸収量には,両区で有意な差は認められなかった.尿pHは低DCAD区で8.06,高DCAD区で8.22であり,低DCAD区で有意に(P<0.05)低かった.尿中へのCa排泄量は,低DCAD区で有意に(P<0.01)増加した.

著者関連情報
© 2015 公益社団法人 日本畜産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top