2022 年 93 巻 2 号 p. 87-96
社会的ストレスのような動物の個体間に生じるストレスは,様々な健康リスクを増加させる.我々は,マウスを実験モデルとして用いて,マウスの個体間におこる社会的ストレスが巣作り行動の遅延を引き起こすことを明らかにした.この巣作り遅延現象をうつ様症状の評価系として構築するために,簡易的な向精神薬スクリーニング方法の開発とその妥当性を評価した.また,赤外線深度センサを使用して社会的ストレスを受けたマウスの客観的および詳細な行動解析を行った.その結果,巣作り遅延は暗期の初期以降に徐々に軽減されていき,自発活動量の増加やリアリング行動の低下を示した.また,巣作り遅延と社会的忌避行動の間に正の相関にある傾向が示された.これらの研究は動物やヒトのストレス研究における基礎的なメカニズムを解明できる可能性があり,赤外線深度センサを使用した異常行動の検出は大型動物への応用が期待される.