日本畜産学会報
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日本の牛乳における乳酸菌の分布およびその性質に関する研究
IX. 全国の牛乳より分離した乳酸菌の蛋白分解力について
佐々木 林治郎中江 利孝
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1959 年 30 巻 4 号 p. 204-206

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抄録

生乳から分離された乳用乳酸菌258株と,比較の意味で非乳酸菌群の分離株12株について,脱脂乳培地3日培養後の蛋白分解性を,遊離チロシン増加量によつて判定した.遊離チロシンの比色定量の結果から,最も高い蛋白分解力を示した菌株はStr. faecalis A-13および.Str. lactis B-5で,それぞれ4.38および4.32mg%の遊離チロシン増加量を示した.一般に,強い蛋白分解力を有する菌株は,Str. lactis, Str. cremoris, Str. faecalisに多く認められ,Lactobacillusは概してStreptococcusよりも分解力が弱かつた.非乳酸菌群,特に大腸菌群と有胞子桿菌には,乳酸菌よりも高い蛋白分解姓を有する菌株が多いが,チーズへの利用性は低い.これに対してStr. faecalisおよびStr. lactisの一部の菌株は酸生成が緩慢で,蛋白分解力が強いので,熟成を長期間要する硬質チーズのスターターに適している.

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