抄録
本稿では、リーマンショックの前後から
強く認識されるようになってきた金融ネッ
トワークのシステミックリスクについて考
察する。
まず、筆者自身の経験を通じて、日本の
金融機関のリスクについて振り返る。90 年
代から2000 年代初めはバブル後の不良債
権の問題に金融機関は悪戦苦闘した。また、
複雑化するデリバティブ取引のリスク管理
でも邦銀はキャッチアップに苦労すること
となる。そして、2000 年代半ばになって、
サブプライムや証券化の問題からリーマン
ショック・金融危機の時代のリスク管理と
なる。20 数年間、リスクのネタは絶えるこ
となく生まれてきたと言える。
特に数年前からの金融や経済を取り巻く
事象の特徴は、本日のタイトルともなって
いる「金融ネットワークのシステミックリ
スク」の急拡大にあると考えられ、このリ
スクについて、モデル化を含めて、解説す
るのが本稿の狙いだ。
ある意味で、個々の金融機関経営とマク
ロの間のリスクを分析しようという試みで
もあり、ようやく少しずつ結果で出てきて
いる状況である。