理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: DP247
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骨・関節疾患(整形外科疾患)
Wolter plate術後の我々の運動療法
*赤羽根 良和林 典雄鵜飼 建志中宿 伸哉宿南 高則近藤 照美帯川 真由美田中 幸彦細居 雅敏笠井 勉
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抄録
【はじめに】Wolter plateは1981年にWolterにより開発された内固定材料であり、非常に強固で安定した肩鎖関節(以下A-Cjt)の再建が可能である一方で、A-Cjtでの動きを完全に止めてしまうが故に術後拘縮が残存することも少なくない。今回我々は、plateが持つ強固な固定力を生かした早期運動療法について検討したので、その治療成績と共に、若干の考察を加えここに報告する。 【対象】平成13年4月から14年10月までに肩鎖関節脱臼及び鎖骨遠位端骨折し、同一術者によってWolter plateによる内固定を施行した10例(男性7名、女性3名、平均年齢36.6歳)を対象とした。肩鎖関節脱臼は3例全てTossy分類III型で、鎖骨遠位端骨折はNeer分類II型が4例、III型が3例であった。【治療方法】治療は術後1週目より開始し、全て立位にて行った。1人のセラピストによってA-Cjtを確実に把持して肩甲骨を固定した。もう一方のセラピストは、上腕骨近位端を把持した状態を開始肢位とした。上記記載肢位にて1st肢位での内外旋、2nd肢位での外旋、3rd肢位での内旋運動を他動にてゆっくりと実施した。またcuff traningは棘上筋・棘下筋を中心に肩甲骨固定下にて行った。【結果】手術から抜釘までの期間は平均140日で、平均治療回数は27.2回であった。9例は抜釘後最短12日、最長58日(平均24日)、平均治療回数5.2回にて可動域制限は消失した。この時の日本整形外科学会肩関節判定基準(以下判定基準)は全て100点であった。1例は著明に可動域制限が残存し、屈曲75°・外転60°・1st内旋臀部・外旋-40°であり、判定基準は79点であった。【考察】本plateの内固定強度は非常に強いため、安全な早期運動療法が可能となる。しかし本plateの問題点として丸山は、A-Cjtでの過度な運動はフック部がねじれ肩峰骨折を生じたり、looseningが生じ固定性が低下する点であると報告している。今回我々が実施した肩甲骨固定下のstooping ex'sは、臼蓋上腕関節(以下G-Hjt)での運動を遂行する目的の他に、前述したplateがもつ問題点を防止する上で大切な治療技術である。また本plateはA-Cjtでの骨・靱帯が修復するまで固定されるため、A-Cjt及び胸鎖関節(以下S-Cjt)での可動性はもともと期待できない。このためG-Hjtでの可動域を抜釘まで維持することは、肩関節の良好な可動域を獲得するには非常に重要となる。抜釘後はA-CjtとS-Cjtでの可動域を獲得し、さらに早期からcuff traningを行うことで良好な治療成績が得られた。諸事情により十分な早期運動療法が実施できなかった1症例に拘縮が残存したが、早期運動療法とG-Hjtの可動域維持の妥当性を裏付けるものと考えられた。【結語】本plateによる内固定の術後成績は、確実にG-Hjtでの可動域維持ができれば、抜釘後拘縮が残存することなく、良好な治療成績が得られると考えられた。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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