理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: JP343
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脊髄疾患
電動車いす使用により職業復帰をした脊髄損傷者
シーティングクリニックで対応した美容師と泌尿器科医師の2症例
*岩崎 洋関口 進吉田 由美子金山 まゆみ谷津 隆男廣瀬 秀行高橋 功次小川 敦夫
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抄録
【はじめに】 当センターシーティングクリニックでは既製品の電動車いすに,職業上必要な機能を持たせるために細工を施した。今回,その電動車いす使用により,職業復帰をした美容師と泌尿器科医師について報告する。【症例と車いすに求められる機能】 症例1:37歳,男性,美容師,交通事故によりTH5完全麻痺,腹筋0,自立座位保持は可能であるが抵抗に対して保持不可能,ADLは自立,ニーズは美容師として復帰したい。要求される機能:1)安定した座位姿勢で仕事ができること。2)褥瘡予防の配慮をしていること。3)自由に客の周りをスムーズに回れること。4)昇降可能な椅子。5)客に接近できること。6)車輪にカットした髪の毛の巻き込みが少ないことである。症例2:35歳,男性,泌尿器科医師,硬膜外血腫によるTH8完全麻痺,腹筋1,自立座位保持可能で弱い抵抗に対して保持可能,ADLは自立,ニーズは泌尿器科医師として復帰したい。要求される機能:1)安定した座位姿勢で仕事ができること。2)褥瘡予防の配慮をしていること。3)診療ベッドに接近できること。4)昇降可能な椅子。5)最小回転半径が小さいことである。【対応】 基本となる車いすは衛生面から考慮して電動車いすとした。症例1はスウェーデン ヨーロフレックス社製のフレックスモビール600シリーズの6輪電動車いすを選択した。褥瘡予防には長時間座位姿勢を保持するため,圧分散が優れているロホクッションを選択し,圧調整は接触圧測定器で行った。横移動と回転操作を容易にするため,椅子を90°左回転した。椅子の部分は客に応じた髪の長さをカットするために電動昇降式とした。客に接近するためには股関節を外転,外旋して座位姿勢保持させ,従来のフットレストの部分を椅子の外側部分に移動した。作業姿勢は体幹前屈位であり,安定を図るために伸縮性のある2本のベルトを椅子から出し,左右肩を支持し,腹部で交差しマジックテープで止めた。また,ベルトの伸縮性により僅かな反動で体幹が椅子に戻れるように設定した。また,肘をついてさらに安定した体幹前屈姿勢で,作業ができるようにアームレストを延長した。カットした髪の毛が車輪に入らない細工は車輪カバーを装着した。床に落ちた髪の毛が車輪に入らない細工は,車輪カバーに床面付近までフェルトを取り付けた。さらにフェルトの下に使い捨ての化学雑巾を巻いて髪の毛をとるようにして,車輪の中に入るのを防いだ。 症例2はスウェーデン ヨーロフレックス社製のフレックスモビール500シリーズの4輪電動車いすを選択した。作業時の体幹安定を図る細工とベッドに接近するための細工は症例1と同様である。【結果】 経済的な面では既製品に若干の細工を施したため,比較的安価で製作できた。そして,退院後は,それぞれの職場で電動車いすを使用して活躍している。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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