理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: NO109
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測定・評価
遅発性筋痛に対するストレッチの効果
関節可動域を指標として
*冨田 健一内藤 仁美永山 智貴木村 篤史松本 和久勝見 泰和
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抄録

【はじめに】不慣れな運動後1から3日後に出現する筋肉の疼痛を遅発性筋痛(Delayed onset muscle soreness;以下DOMS)という。これまでDOMSに対しストレッチや物理療法など、様々な治療法の効果がVisual Analogue Scale(以下VAS)等の疼痛評価スケール、圧痛、血液データを用いて検討されているが、著明な治療効果は認められていない。とりわけストレッチング(以下ストレッチ)の効果については否定的な意見が多い。今回我々はDOMSモデルを作成しストレッチの効果を関節可動域(以下角度)及びVASを指標として検討したので報告する。【対象および方法】健康成人10名を対象に、5ヶ月以上あけて対照群、ストレッチ群(以下施行群)の両方を行う事とし、無作為に最初にどちらを行うかを分けた。DOMSモデルは等速性運動機器を用い、前腕伸筋群に対しピークトルクの80%の強度で遠心性収縮の運動負荷を、30回×3セット加え作成した。ストレッチ方法は自動介助運動により前腕伸筋群に適度な伸張感を感じるまで手関節掌屈位をとる1分間の静的ストレッチとし、運動直前直後に1回、各疼痛測定までに合計10回のストレッチを施行させた。角度及びVASの評価は運動負荷前、ストレッチ施行後(対照群は運動負荷直後)、12時間、1、2、3、4、7日後の計8回行い、角度評価は運動負荷前には手関節自動最大掌屈(以下最大掌屈)角度と自動最大背屈(以下最大背屈)角度を、その後の評価では手関節自動掌屈及び自動背屈運動を行い、疼痛が出現するまでの角度を計測した(各被験者の運動負荷前自動角度から疼痛が出現するまでの角度を引いた角度を疼痛により制限される角度(以下背屈疼痛角度、掌屈疼痛角度)とした)。VASは各評価時の最大掌屈時、最大背屈時に発生する疼痛を計測した。統計処理は、WILCOXONの符号付順位検定を用い、危険率5%未満にて両群の角度の推移を比較検討した。【結果】掌屈疼痛角度では施行群で運動負荷前角度との差が1日後(施行群:-9.5±13.63°、対照群;-19.5±14.03°)3日後(施行群;-5.5±12.12°、対照群;-20±8.82°)、4日後(施行群;-4.5±10.91°、対照群;-15.5±12.34°)と有意な改善を認め、背屈疼痛角度でも施行群で1日後(施行群;-7±14.38°、対照群;-19±10.22°)4日後(施行群;1.5±11.32°、対照群;-10.5±10.92°)に有意な減少を認めた。VASでは最大掌屈時、最大背屈時共に施行群と対照群に有意差は認めなかった。【考察】本研究においてVASでは両群に有意差は認められず、以前のDOMSに対するストレッチの効果ついて発表されてきた結果と一致し、否定的な結果となった。しかし疼痛により制限される角度は、施行群において手関節自動掌屈及び背屈運動を行う際に、優位な早期の減少を認めた。よってDOMSを発症している筋へのストレッチは疼痛の程度を減少させる事は出来ないが、その筋が関与する関節運動を行う際に疼痛の発生している範囲を減少させる効果があるものと考えられた。

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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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